1994年、フレデリック・コンスタントは、史上初となる時計のダイアルに小窓を開け、時計の心臓部分のバランスホイールを時計の表側から見せる革新的なデザインの「ハートビート ウォッチ」を発表しました。
このハートビートのデザインは、フレデリック・コンスタントの特徴である美しいメカニカル部分を見せる
ことで視覚的にも機械式腕時計を楽しんでもらうことを目的として考案されました。
ハートビートの腕時計は、バランスホイール部分が見えるようにダイアルに開口部を設けることで、複雑な各パーツの動きを見ることができるとともに、一目でメカニカルウォッチであることを証明します。
>1994年~2008年まで。ハートビートの軌跡はこちらから
機械式時計は1970~1980年代にクォーツ全盛期による危機をむかえましたが、1990年代初頭には
自動巻のメカニカルウォッチのよさが時計愛好家を中心に見直され始め、時計市場は再び機械式へと
戻り始めました。
クォーツの秒針は、毎秒60回のステップを刻みますが、機械式の秒針がスムーズな動きだという事を
除けば、一目で機械式時計かクォーツ時計ということは見分けがつきません。
そこでフレデリック・コンスタントは、機械式時計とクォーツ時計の違いが一目でわかる時計を作りたいと
考えました。
一般的な機械式時計は、バランスホイールとローターが、大きなルビーを中心とした回転軸によって左右に回転し、バランスホイールが毎時28,800振動しています。
ひげゼンマイによって制御され、絶え間なく回転するこの機械式ならではのムーブメントの様子を、ハートビートの小窓から見せるという革新的なアイディアで、機械式時計であることのアイデンティティを表現したのです。
1994年、ハートビートウォッチを発表したこの時点で、“ハートビート”デザインの国際特許の申請をするべきでした。当時フレデリック・コンスタント社は着実に発展していましたが、まだまだ小さな会社だったため、社内の法的な管理不足によって重大な手落ちが生じてしまいました。
発表当時、すぐにハートビートのデザイン登録を申請していたら、特許が保証されていたかもしれませんが、登録を申請しないまま、ハートビートの初コレクションの発売を開始してしまいました。
その結果、史上初のハートビートの発売からわずか1年足らずで、同じデザインの時計が他ブランドから出回り始めてしまいました。
競合ブランドの中には、明らかにまったく同じデザインを取り入れた時計や、小窓部分のデザインを変えた時計などが発表されてしまいました。
前面からムーブメントを見せるという革新的なデザインは、革新的であったがために模倣されてしまい、
フレデリック・コンスタントにとって苦い経験となりましたが、同時にフレデリック・コンスタントの革新性や技術力・デザイン力の高さを証明するものになりました。
ハートビートと同じデザインの腕時計が市場に出回ってしまったため、ハートビートの特許登録は、既に手遅れでした。ハートビートを開発した元祖として、フレデリック・コンスタント社は数年かけて新しいハートビートキャリバーのコンプリケーション時計の開発に力を注ぎました。
そして、デュボア・デュプラ社との共同開発により、1998年に“ハートビート デイデイト”が誕生、翌年1999年には、同様に“ハートビート パーペチュアル”が発売されました。そして2001年、ジュネーブのアジェノア社との共同開発により、ベストセラーモデルとなった“ハートビート レトログラード”が発売されました。
新しいハートビート キャリバーの開発にあたって、社内での議論の中で度々初期のハートビートのデザインについて焦点が当てられました。既存のハートビートモデル全てがエボーシュをベースにしたキャリバーで、デザインや設計に限界があったのです。
問題のひとつは、ハートビートから見えるバランスホイールが時計の奥に位置していることでした。
そこで、キャリバーの前面側に、バランスホイールを配置することが、重要な改善策であると考えました。
また、もうひとつの問題点は、機械式の最も重要なひげゼンマイ部分もキャリバーの裏側に位置しているということでした。
幾多の議論の末、自社のオリジナルキャリバーを開発して、従来の問題を解決することにしました。
2001年、ハートビート マニュファクチュールの開発を開始し、ひげゼンマイとレギュレーションもキャリバーの前面に配置することで、バランスホイールをキャリバーの前面に配置することが可能となり、ハートビートのデザインをより強調し、時計の動きを楽しんでいただける設計が完成しました。
このキャリバー設計は、まったく新しいフレデリック・コンスタントのオリジナルキャリバーです。
過去の苦い経験から、発売される前に全ての新しい自社キャリバーの国際特許申請を行いました。
最初のハートビート マニュファクチュールの設計・開発・生産は、主にÉcole d'Horlogerie de Genève(ジュネーブの時計企業の学校)、École d'Ingenieurs de Genève(ジュネーブのエンジニア学校)、Horloge Vakschool Zadkine (フランスの時計エンジニア学校))の協力の下、約3年が費やされました。
2004年に手巻きのハートビート マニュファクチュールを発表し好評を得て、2005年に進化型のハートビート マニュファクチュール ムーンフェイズデイトを手巻きで発表、2006年には、初のオートマチック ハートビート マニュファクチュールを発表しました。
更にマニュファクチュールは進化し続け翌2007年は、新素材のシリシウムを使用したガンギ車を搭載したモデルの開発に成功し、今年2008年には終に自社製のオリジナルシステムを搭載したオートマチックのトゥールビヨンを発表。現在も更に新しい自社キャリバーを開発しています。
| 1994 | ![]() |
初期に発表された史上初のハートビート モデル FC-310M36 ![]() |
|---|---|---|
| 1995 | ![]() |
ハートビート ペアモデル FC-310HW3A5 & FC-310HW1A5 |
| 1998 | ![]() |
ハートビート デイデイト FC-610M3A6 |
| 1999 | ![]() |
ハートビート パーペチュアル FC-710S39 |
| 2000 | ![]() |
ハイライフ ハートビート デイデイト FC-610AS3HP (Platinum) |
| 2001 | ![]() |
ハイライフ ハートビート レトログラード FC-680AS3H9 (18K Rose Gold) |
| 2004 | ![]() |
ハートビート マニュファクチュール(手巻き) FC-910ASG3H9 (18K Rose Gold) ![]() |
| 2005 | ![]() |
ハートビート マニュファクチュール ムーンフェイズデイト FC-915AS4H9 |
| 2006 | ![]() |
ハートビート マニュファクチュール オートマチック FC-930M4H6 |
| 2007 | ![]() |
ハートビート マニュファクチュール シリコン ムーンフェイズデイト FC-935SABS4H9 |
| 2008 | ![]() |
マニュファクチュール トゥールビヨン FC-980MC4H9 |